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庭向こうの山裾にそそり立つ
クヌギの木、(黄色の●)
10年前は細くて小さな雑木だった。
夏は前庭に射す西日を遮って
夕方の庭作業を涼しくしてくれた。

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晩秋から早春にかけては
落葉して暖かい日差しが射し
四季の変化も感じさせてくれた。
年ごとに大きくなり高さも
20mを超えるほど成長した。
根元の直径は40cmにもなり、
斜面に立つ威容を見上げると
台風などの強風で倒木の
恐れがあり、その際には
小屋の屋根に届くかも知れない、
そんな心配が付きまとうのだった。

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伐倒するには木こりとしての
知識や伐倒技術が必要である。
狙った方向に正確に伐倒しなければ
山裾に張られた害獣除けの
金網フェンスや庭小屋を潰して
しまうかもしれないので
ロープで引っ張って伐倒方向の
精度を上げなければならない。
そのためにパワーウインチを買い、
プラスチック製のクサビを買った。
クサビは二つで2,500円、
パワーウインチは2,300円だった。
さらにロープが2,000円だったから
7,000円ほどの出費だった。
繰り返し使うものではないので
無駄な買い物のように思ったが
森林組合に頼んで伐倒して貰う
ことを考えれば安いものだと
割り切って買い揃えたのだった。

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写真で見ると小さな木に見える。
しかし、直下に近づいて
樹幹の太さや樹高を見上げると
素人の手に負える気がしない程
圧倒され気持ちが萎えてしまう。
森林作業者の死亡事故は多く、
山の斜面での作業は伐倒する
木の下敷きになったり、
倒れた木がバウンドして
作業者を跳ね飛ばすこともある。
いろんな職種の中でも最も
労働災害の多い職種と言われている。

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そんな事故例をネットで調べ、
危険予知能力を高めるために
かなりの時間を割いての作業だった。
枝の張り方が偏っていれば
バランスが崩れて予期しない方向に
倒れることもあるので
偏った大枝を前もって
切り落とす作業も必要だった。

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可能な限りの高さにロープを
取り付けて伐倒方向に
2本のロープを張った。
そして倒れる方向に受け口を作る。
受け口は直径の1/3から
1/4程度の深さとし、
斜めに切る部分は30度から
45度の範囲が良いとされる。

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次に反対側に回って追い口を切る。
追い口の深さはツルという部分を
残して切り込んでいくのだが
深く切りすぎると意図しない時に
倒木が始まるので注意深く切る。
ツルは直径の1/10残すのが
標準であるがロープで引っ張るので
2/10ほどの厚みでツルを残した。
なお、ツルはドアの蝶番のような
役目を果たし、ゆっくり倒れ始める
効果を示し安全に逃げる時間を作る。

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伐倒時はパワーウインチと
耕運機で引っ張って伐倒した。
グイグイと引っ張ると大木が
ダイナミックに予定方向に倒れた。
耕運機を使った理由は
パワーウインチは
引っ張る速度が遅い為であった。

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伐倒後に分かったことだが
年輪の境目で割れが生じたので
ツルの部分が設定より薄くなった。
受け口と追い口の高さの差が
大き過ぎることにも原因がある。