ヤフオクで落札した
格安のリニアアンプは
外観も綺麗だし大変な
お買い得品だと思った。
だが実際に通電すると
入力よりも出力が小さい
故障の代物でアンプ
(増幅器)ではなくアッテ
ネータ(減衰器)だった。
SSGの周波数を50.11MHzに、
出力を+17DBmにセットして
リニアアンプに入力すると
送受信判別回路が動作し、
リレーが軽快に動作して
送信状態の赤色LEDが
点灯した。だが出力のパワー
メーターは減衰、増幅器では
なく減衰器になっていた。
テスターでトランジスタの
Vbeを測定すると正常状態では
0.6V~0.7Vの範囲の筈だが
0.9Vだった。トランジスタが
壊れていた。一方、アイド
リング電流調整用のトランジス
タは0.56V程度で低めだった。
鈴商電子(株)でトランジスタの
カテゴリを覗くと2SC2181が
形状的に納まるが電気的特性は
コレクタ損失が80W、元々の
2SC2290の半分以下だった。
10W出力が40W出力になれば
十分だと思ったので
2200円+送料650円にて
銀行振込すると翌日に届いた。
トランジスタを2SC2181に
取り換えると今度は
バイアス電圧不足になった。
バイアス回路の抵抗を
小さい値に変えると
10Ωの抵抗から煙が発生し
トランジスタを破壊して
しまった。原因は熱暴走、
トランジスタも壊れた。
諦めてヤフオクで次の
リニアアンプを探そうかと
思ったが技術向上のいい機会、
どこまでも勉強のためだと
思ったし授業料だと思って
さらに同じものを発注した。
入荷したので取り換えると
10W入力に対して出力が15W、
増幅器として動作したが
利得が1.5倍と小さいのは
ミスマッチングと判断した。
その原因はトランジスタの
特性の違いだろうと思った。
回路の諸定数を変更して
マッチングをとるのは一から
設計しなおすに等しいので
特性の似たものを探した。
幸いにも2SC2290をヤフオクで
見つけて3100円で落札した。
この手の廃品種は市場価格が
高いが安価で落札できたのは
他の入札者が早めに諦めて
くれたのでラッキーだった。
改造前にJW-CADで回路図を
書いた。このリニアアンプは
バイアスの安定化回路が無い。
このままトランジスタを
取り替えてもまた熱暴走が
発生して壊れる可能性が
高いと判断して改造を決意
した。アイドリング電流の
安定化と受信時にベース電流を
遮断するリレーの追加もした。
そしてバイアス電圧を決める
ダイオードとトランジスタの
熱結合をする変更も加えると
次のような回路図になった。
改造後はアイドリング電流回路を
三端子レギュレータ(LM7805)で
5Vに安定化し、リレーを追加して
受信時はバイアス回路の電流を
遮断するリレー回路を追加した。
さらには熱暴走防止として
ダイオードとトランジスタの
熱結合をした。動作テストを
するとパワーメーターの針が
ふらついて不安定だったので
リレー接点の不良もあると判断。
取り換えることにしたが
既存のリレーは廃品種となり
互換性の有るリレーも無いので
松下製SP2-DC12Vで代用した。
リレーコイルと接点はプリントパターンに
合致しないので1.5Dー2Vの同軸ケーブルで
接続した。シールドはプリントパター側のみ
アースした。リレー基盤は立てた状態で
取付なければスペース的に無理だった。
こうして変更後の中を見ると
部品点数の追加も多くなった。
やや雑な作業になったが動作すれば
問題ない。カバーをかぶせると
雑な部分は見えなくなってしまう。
SSGから50.11MHz、+17DBmの
信号を入力し、出力波形を見ると
綺麗な正弦波が現れた。
SSGから変調信号を送ると
変調波も綺麗に表示した。
さらにスペアナにてスプリアス発射の
状態を観測するがスプリアスらいし
ものは見あたらない。両サイドに
表示したのは50MHzの搬送波である。
中央はセンターを表しており
目盛りは20MHz/DIV。
だから正しく動作している。
念のためリグとリニアアンプを
接続し10W入力したところ
50W出力したことを確認した。
50MHzでは10Wの免許だったので
50W出力の移動局として変更の
手続きを総務省電波管理局宛に
電子申請をしたところである。